第8回 Ambient Feedback System 研究会×
日本感性工学会 而立の会 2017年度研究会

The eighth meeting on Ambient Feedback System + JIRITSU no Kai 2017 (JSKE)



開催日時:2017年6月17日(土)~6月18日(日)
開催場所:信州大学 繊維学部
〒386-8567 長野県上田市常田 3-15-1

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スケジュール Schedule

17日:12:00~17:00 研究発表
   17:00~18:00 招待講演 [1]
   19:00     懇親会
18日: 9:00~10:00 招待講演 [2]
   10:00~12:00 研究発表

会費

一般:3000円 学生:無料

招待講演

Invited Talk

1.「快適感をはかる」

上條 正義1)

1) 信州大学 繊維学部

研究概要:着・座る・寝・使う・見るなどの心地の計測評価は,製品や環境と人との関係性を明らかにする感性工学における重要な課題である.これまでは,心地評価の中でも人に与える負担を評価することの感性計測技術が多々検討されてきた.近年、負担だけではなく,快適であることを積極的に計測評価する方法が注目されている.しかしながら,快適を評価する方法については,快適な刺激の呈示方法,心身の快適反応の指標の特定など課題が山積している.これからどのように快適感を計測評価する方法を検討するかについて考えたい.

2.「衣環境に関する数値解析と感性評価」

堀場 洋輔1)

1) 信州大学 繊維学部

発表概要:衣服の快適性(着心地)は、,衣服圧,衣服内気候,風合いなどの衣環境と密接に関連していることが知られています.従来,衣環境は計測により解析・評価されてきましたが,近年では計算機の処理能力の向上とともに衣環境の数値解析も行われています,本講演では,演者らの研究グループでこれまでに取り組んできた衣服圧や,人体と衣服の間の空隙量などに関する数値シミュレーションの事例と、衣服の動作快適性(動きやすさ)などの感性評価に関する取り組みについて紹介します.

研究発表

Research Presentation

1. 「自律神経活動評価の研究」

水野統太1), 村田禎侑1),浅野裕俊2), 松野省吾1) , 明比宏太1) , 水戸和幸1) , 板倉直明1)

1) 電気通信大学, 2) 香川大学

研究概要:これまで、赤外線サーモグラフィを用いて取得した顔面熱画像により自律神経活動の評価・推定に関する研究を行ってきた。鼻部皮膚温度が自律神経活動をよく反映することから、顔面熱画像から鼻部皮膚温度を抽出し、心理状態の推定やメンタルワークロードの評価等が行われてきた。しかしこの手法は、非接触で計測できる利点を持ちつつも、瞬間的な評価や自動評価ができないことから普及していなかった。そこで、瞬間的な自動評価を目指し研究を行ってきた。これについて報告するとともに今後の展望について検討する。

2. 「蝶類の配色ルール抽出法」

梯絵利奈1), 日比野治雄1), 小山慎一1)

1) 千葉大学大学院

研究概要:自然界に潜在する美の法則性の解明ならびに新たな色彩調和論の提案に向け,アゲハチョウ科48種の配色法則の解明とその色彩調和の検証を試みた。主な手法としては配色の類似性による分類と各グループの配色傾向の分析によってグループ間での共通法則を導き,これをアゲハチョウ科の配色法則とした。結果として二つの配色法則が得られ,これまでの色彩調和論では説明できなかった方の法則に対する調和性を,法則性あり・なしの配色刺激に対する主観評価によって検討した。その結果法則性ありの配色は法則性なしの配色よりも調和性が優位に高いことがわかった。これらの結果から,蝶類の配色法則の一部が明らかになり,その調和性も示唆された。今後の展望として,これまでの取り組みを踏まえ配色法則抽出および実験における現手法の問題点とその解決方策について論じた。

3. 「VRを用いたリハビリテーションのためのアートプログラム開発と心理的効果」

吉岡聖美1)

1) 明星大学

研究概要:リハビリテーション動作とアート制作とを連動させることによって動作を促し,動作の達成度を作品の出来栄えとしてフィードバックするアートプログラムを開発した(特許出願中).「立ち上がって空に描こう!」のアートプログラムでは,VRヘッドマウントディスプレイを装着して上下運動を行うことによって視界の画像が変化してアート作品を制作することができる.本プログラムを用いてスクワット運動を実施する実験を行った結果,本プログラムを用いないスクワット運動に比べて,運動の前後で「快適度」が有意に上昇することを確認した.

4. 「顔面画像色差の振幅及び位相情報を用いた血圧推定の試み」

坂東靜1), 大岩孝輔1), 野澤昭雄1)

1) 青山学院大学

研究概要:人間と機械の関係に対する新たな捉え方として融合人間機械系を提案する。融合人間機械系では人間と機械がシームレスに融合しており,機械は暗示的センシングや個人適応モデルに基づくプロセッシング,無意識に訴える暗示的フィードバックから構成される。本研究では技術的課題の一つである非接触計測に焦点を当て,非接触計測可能な顔面可視画像を用いた血圧の推定を試みたので報告する。

5. 「集団に享受される自由なカニ」

西山雄大1)

1) 長岡技術科学大学

研究概要:ミナミコメツキガニの集団行動解析を通して,生命現象における自由について論じる.群れ研究の関心事のひとつは,瞬時に全体を見渡すいわゆる神の視点を持たずして,いかに群れのダイナミックな振る舞いが生まれるかである.計算機内で群れを再現しようとするとき,その多くは,すべてのエージェントが同じ規則に同時に従うといった均質な個体群が想定される.これに対して,実際のカニの群れにおける不均質さが,局所と大域の交差相互情報量の時間推移から示される.さらに局所と大域を橋渡しする存在として,他個体から一時的に離れる個体=はぐれ個体が同定され,それらの個体が密度を調整すべく意思決定することが示される.以上は,ある種の全体性を担うはぐれ個体が,自由な個体と群れのまとまりの両立をもたらすことを示唆する.そのような全体を担う部分を,生命システムにおける異質さと呼ぼう.ところで,決定論的世界観においてなんとか見出される自由は,何者にも制約されない決定と想定される.しかし,生命現象の本質として,何者にも制約されないことなどあり得ないのではないか.私は先の異質さを鍵概念とし,人の表現に関する事例を紹介しつつ,異質さの偏在およびそこにある自由について議論する.

6. 「色の嗅覚的な印象」

櫻井将人1)

1) 合同会社NAYUTA

研究概要:商品パッケージを見ただけで香りを感じられるような効果的な色彩表現を行うことで香りを視覚的に表現できると考えられる.嗅覚刺激に対して視覚的な印象を検討している研究は存在し,各種香りと色彩のトーン(色調)との関係が報告されている.人間の知覚・認知における各感覚器の連携を考慮するならば,視覚刺激に対して嗅覚的な印象も存在すると考えられる.そこで本研究では,色彩の嗅覚的な印象を解明することを目的として,色刺激の嗅覚的な印象を主観評価実験により検討した.

7. 「最適フィードバック制御に基づく眠気抑制の可能性」

森大河1), 淺野裕俊1)

1) 香川大学

研究概要:本研究の目的は,運転者の眠気を適切に抑制する生体制御技術の開発である.先行研究では自律神経伝達機序に従い,運転者の鼻部皮膚温度変化に同調しながら冷却刺激を頚部付近に与える独自のバイオフィードバックシステムを提案してきた.本稿では,最適フィードバック制御を用いた皮膚温度制御システムを開発し,頸部冷却による眠気抑制検証実験を行った.実験の結果,運転者の眠気を抑制できる可能性を示したので報告する.

8. 「軍隊ガニの光走性と群れ行動の発現」 ※優秀発表賞

川井 春菜1)

1) 信州大学

研究概要:沖縄県南西諸島固有種のミナミコメツキガニ(別称:軍隊ガニ)は,干潮時に干潟で数千から数万匹の巨大な群を形成する.二次元上に展開するカニの群れは,生物の群れ行動を研究する上で恰好の研究対象である.本研究では,このカニが有する光走性を利用し,群行動に対する光介入実験を行った.具体的には,直径50㎝程の円形アリーナの側面に128個のLED光源を配置し,その光源パターンに対するアリーナ内のカニの行動を観察した.その結果,(1)LED光源を円周上に回転するように点灯させると,カニの群れ行動が誘発されLED光源と同方向に群れとして回転すること,その一方で,(2)LEDの回転速度がある一定以上の速度を超えるとLEDとは逆方向に回転する群れが形成されることが,観察された.この結果に基づきこのカニが有する群れ行動の基本原理を考察する.

9. 「香り成分がマウスの自発運動能に与える影響」

中村一美1), 本庄洋1), 岩田祥昌1), 山田康枝1)

1) 近畿大学

研究概要:アロマテラピーは香りによるリラックス効果など心身の恒常性維持・促進を図る自然療法として知られてきたが,近年,認知症予防など医療分野での応用についての研究が進んでいる.本研究では,覚醒効果やリラックス効果があると言われている物質に着目し,マウスによる行動実験をおこなった.具体的には,定量的な評価をおこなうため,10%DMSO(Dimethyl sulfoxide,ジメチルスルホキシド)を溶媒とした各香り成分を腹腔内へ投与し,自発運動能を計測した.また,香り成分の濃度による違いについても検討したので報告する.

10. 「同調歩行中の歩行パターン変化:「弱い」リーダーにおける身体性拡張」

箕浦舞1),郡司ペギオ幸夫1),白川智弘2)

1) 早稲田大学 基幹理工学部 表現工学科, 2) 防衛大学校 電気情報学群 情報工学科

研究概要:歩行の同調は,身近で個人間の運動協調が観測可能な現象である.本研究では,二者の同調歩行において,リーダー・フォロワーの役割やその明示強度を変化させた時,各人の歩行パターンがどのように変化するかを解析した.結果,完全なリーダーでもフォロワーでもない,「弱い」リーダーの役割にある時,歩行パターンに変化が見られた.このことから,個人の身体性拡張において,運動に対する受動的・能動的態度の効果を考察する.

11. 「「勇気づけ」メッセージが達成困難な課題の遂行に及ぼす生理心理的影響の計測および評価」

南雲健人1), 野澤昭雄1), 岩城達也2), 石川智治3),

1) 青山学院大学, 2) 広島国際大学, 3) 宇都宮大学

研究概要:本研究の目的は,「勇気づけ」の工学的方法論の獲得である.先行研究では,心理アンケートを用いて抽出した「勇気づけ」に効果的な「勇気づけ」メッセージが心理面に及ぼす影響を検証した.次に本報告では,「勇気づけ」メッセージが「勇気づけ」のアウトプットである行動に及ぼす影響を実験的に評価した.実験では,被験者に達成が困難なアナグラム課題を課し,課題遂行中に提示した「勇気づけ」メッセージが行動と生理心理状態に及ぼす影響を評価した.

12. 「Psychophysiological Effects of Apple and Chamomile Aromas on Acute Stress Response」

Sugeeswari LEKAMGE1), Masaki NAKACHI1), Shu SATO1), Kanetoshi ITO2), Shusaku NOMURA1)

1) Nagaoka University of Technology, 2) Takasago International Corporation

研究概要:We investigated the psychophysiological effects of Apple and Chamomile aromas under a short-term stressor, with the use of an olfactometer. In a within-subject experiment, a calculation was performed under each condition: Apple, Chamomile, or scentless air, presented in counter-balanced order. Along with psychological assessments, skin temperature and electrocardiograms were recorded. Findings revealed that Apple inhibits stress-induced cardiac autonomic nervous system activation, but promotes peripheral sympathetic nervous system activation. Chamomile showed no significant effect. The study verified the efficacy of Apple in alleviating cardiac stress response and revealed a nature of aroma which produces distinct effects on cardiac and peripheral responses.

13. 「視覚刺激の提示位置が一時記憶に及ぼす影響」

古池謙人1), 山添崇1), 東吉彦1), 東本崇仁1)

1) 東京工芸大学

研究概要:ヒトが視覚を用いて対象物を記憶するには,一時記憶を経て短期記憶や長期記憶へと記憶の保持期間が遷移する.本研究では,記憶の入口となる一時記憶に対して視覚刺激の呈示位置が及ぼす影響を検討・調査した.具体的には、8箇所にの色、大きさ、形状の3要素がランダムな組み合わせで呈示される視覚刺激を用いて被験者に記憶課題を課すものとした.結果,呈示位置によって一時記憶に違いが生じており,ヒトは視界の上部位置に存在する視覚情報を記憶しやすいということが示唆された.